
職業名(Occupation)の絵本に登場する排水管工(Plumber)。Pilotと同じ並びの技術者。
当たり前、常識だと思ってきたたくさんのことが、他の国では非常識、通じないことがあるという発見も楽しい海外暮らしです。
日本で家探しをする場合、予算等の条件が許されるならば新築・築浅物件を選ぶ場合が多いかと思います。急速に経済成長が進む新興国では街のあちこちで新築コンドミニアムやタウンハウスの建設ラッシュを見ることができます。フィリピンでもしかり。プールやクラブハウス付きの夢のような新築物件。ロングステイや移住してどうせ住むなら、ぴかぴかのお家に住みたいですよね。
今年セブで家を借りる前はこんなことを思っていました。
・治安が心配だからセキュリティ付きコンドミニアムにしたい
・暑い気候でも子供が外で遊べるように、体動かせるようにプール付きにしたい
・いつどの時点で帰国となるか分からないからできるだけ家具付き物件がいい
結果。学校の近くにはシティ中心部のようなコンドミニアムがない。。。唯一あるコンドは1ルームや1ルームロフト付き(ロフトが寝室)でせまいのに高くてとても家族で住めない(住んでるご家族いますが)。。。ということで今は学校の徒歩圏のタウンハウスを賃貸しています。プールはありません(そのうち敷地内に作られるという噂も)。内見当初はマットレスのみありで交渉の結果、入居時はエアコン、冷蔵庫、レンジ関係をつけてもらいましたが、ダイニングテーブル、ソファ、クローゼット、棚系、テレビボードなど必要な他の家具はすべて自前で購入しました。インターネットも自分で申請。
で、新築物件なのできれいなのですが「まだ誰も住んだことがない」わけです。水は出るか、流れるか、電気はつくのか、窓は締まるか、鍵は機能してるか等等、一応これまでの人生経験を総動員して、思いつくところはチェックして修理を依頼してから入居しました。
しかーし。これまでに、、、、トイレの水漏れ3回。壁のひび割れ2回。フロアタイルの大規模パネル張替え工事2回(これが一番つらかった)。シャワーヘッド交換。シャワーホース交換。エアコン水漏れ。外の水場の詰まり(自力で直す)、鍵の不具合(放置)、その他もろもろ(放置)。引っ越して以来、生活に支障のある不具合がこれだけあり、毎月何かしら見えない敵と戦っていました。。

フロアタイルが浮いてくる現象。手作業で掘り返しセメント張り直し。1週間埃と騒音が続き一番つらかった。
学び。新興国で新築は選ぶべからず!! 新築=「誰も生活したことがない」=不具合がまだ発見・修理されていない!!
たぶん多くの国では、家を作ったら新築って住みながらメンテナンスしていくってことなのだろうと思います。家の不具合があると生活の快適さ度合が極端に下がり、とたんにドタバタ度やストレスが増します。海外移住・ロングステイ当初はこのあたりも想定しておくと心の余裕がだいぶ違うかもしれません。
さて、だいぶ不具合や修理も落ち着いてきたロングステイ6か月目の最近ですが、今週またもや事件発生しました。
夕食も終わり、台所で洗いものをしてた主人が騒ぎ出しました。足元から水漏れです。しかも強烈な悪臭を放つ汚水!
どうやら台所の排水パイプ、詰まったようです。

台所下の排水が詰まり汚水が床に漏れる。掃除するパパ。
シンクの下は、小さなタンクのようなものが置いてあってそこから下水への排水パイプにつながっています。タンクを開けてみると(主人が)、シンクから流れていった廃棄物がたまりにたまっていました。手にゴミ袋をはめて取り除けるだけ取り除きます(主人が)。それでも水が流れないので、パイプ詰まりを溶かす薬品を入れて放置してみましたが無駄でした。床に流れ出た汚水を泣く泣く掃除して片付けます(主人が)。部屋に悪臭が立ちこめるので、ママは一生懸命窓を開けて換気し、ファブリーズをシュッシュしました。大家さんに連絡し、翌朝一で排水管工(Plumber)を手配してもらいました。
翌朝。今度はなんと断水です。朝ごはん作って、お弁当作って、快便させて送り出さなきゃいけない母さん的には、平日の朝の断水が一番困る。。

ラップとアルミホイルで洗い物出さないようにする。キャンプみたいで喜ぶ子供たち。
ラップとアルミホイル、紙コップでご飯作って食べて、洗いものをださないようにしました。常に多少の作り置きやすぐ詰めれるお弁当具材の用意は必須です。子供たちにトイレも小や紙は流さないように指示し、大だけ流すルールです(なぜか3か所トイレがあるので断水しても1回ずつは流せる)。
1時間で断水が直り、子供たちも無事に送り出せそうでほっとした母さん。ニコニコしながら洗い物をはじめました!
ジャー。。。。しまった!!シンクの排水、詰まってるの忘れてた!
もたもや床に汚水があふれ出しました。バケツを持ってきて悪夢の掃除を始める主人。自分の失敗ながら、起こっていることがもはやおかしくてコメディなみに笑えてきました。
時間どおり来るなんて期待してない排水管工(Plumber)が朝一で来てくれました。パイプが詰まっているのだろうから、パイプ掃除をするのかと思いきや、驚愕の光景が!!

排水タンクを外に持ち出して洗い始める排水管工、Sir.Plumber
シンク下の汚水タンクを外して外に持っていき、洗い始めたおじさん。汚物と汚水を外の道路の排水溝に流しながら、「このタンクは3か月ごとに洗わないといけないんだー」というではありませんか!
そして、ゴロンと出てきたボール状態のものを指さし、これが原因だ、とおっしゃいます。油の塊なんだそう。基本故意には食べかすや生ごみや油を流してはいませんが、洗い物をするうちに少しずつ蓄積していくというのは分かります。

ゴロンと出てきたオイルの塊。でかい!!これが詰まっていたらしい。
なんでこんなシンクと排水の作りになっているんだろうか。。おじさんに聞いたら、下水を詰まらないようにするためにタンクを付けているんだ、と言うんだけどさ。でもさ、外でタンク洗って排水溝に廃棄しててたら一緒じゃないか?そのうちスコール降り続いたら玄関前の外の排水溝あふれてくるのが目に見えてるんだけど。
とにかく、絶望的な悪夢だった汚水事件が解決し、きれいさっぱりになったタンクとシンクを見て、Plumberのおじさんへのとめどない感謝と尊敬の念があふれてきました。
ついでに修理を放置してやり過ごしていた、2階のバスルームのシャワーの排水とトイレの水漏れもみてもらいました。シャワーの排水はこれまたびっくり。パイプから砂利や砂が大量に出てきました。建設中に入ったんだろう、とのこと。マジか!! あっという間に修理してくれて母は歓喜の舞です!!おじさん、英語も上手だし(現場の技術者にはビサヤ語しか話さない人もいる)、説明もスマートなので、生い立ちを聞いてみることにしました。
大学で造船技術を学んだあと25歳で結婚、それから続けて5人の子供が生まれたそうな。本当は造船技術エンジニアとして海外に出て働きたかったが、家族を養うため排水管工としてセブで働いてきたんだとか。おじさん、すごいなぁ。「排水管工のおじさん」が、「Sir.Plumber」に変わった日でした。
御礼として200ペソ(400円ちょっと)と孫用のお菓子をあげたらとても喜んでくれました。シッターさんや現場の技術者、セキュリティガード、ご近所さんを大切に、周囲の人と仲良くなっておくことの大切さが身に染みる今日この頃です。
最後に。2回も汚水を掃除してくれたパパ、有難う。
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